毎年毎年異常気象と言われ、毎年毎年平均気温が上がっていくように感じる日本の夏。特に日本一の暑さを年々記録する埼玉県を有する関東の暑さは、もう東南アジアレベル。
そんな関東や関東から近い場所にも、体感温度がぐっと下がるひんやりスポットが存在します。夏だけではなく秋も残暑が厳しいこの頃。「うわー!暑い!」と思ったら、ひんやりスポットにでかけましょう。
山梨県 富岳風穴
平均気温:3度
青木ヶ原樹海には富士山の溶岩流が生み出した溶岩洞穴が点在しますが、中でも最も巨大な自然洞穴の一つと言われているのが、この富岳風穴です。この猛暑・猛残暑の季節に現実逃避するには最適な場所です。総距離201メートルで約15分のひんやり散歩ができ、風穴から出た後はしばらくの間「外の外気が温かくて気持ちがいい」なんて思ってしまいそう。ユニークなポイントは、洞穴なのに音が反響しないこと。玄武岩質に音を吸収する性質があり、ひんやり、そして静かな空間に癒されます。
天然の氷柱ができることでも知られ、一部溶けるものの真夏にも氷柱が残っています。
この環境から明治時代にはカイコに繭を作らせるため、卵の状態で富岳風穴内に保管して、必要な分を、暖かい外に持ち出して孵化させていたそうですよ!
観光のポイント
・ヘルメット着用を任意でお願いしています。
DATA
富岳風穴
所在地:山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1
アクセス
電車・バス:JR富士急行線河口湖駅からバス乗車。「富岳風穴」バス停下車(約20分)
車:中央自動車道河口湖ICから25分
営業時間:9時~17時※時期により営業時間が短縮になります。公式サイトを見て出かけましょう。
入場料:大人350円/小人(小学生以下)200円
公式サイト:富岳風穴
山梨県 鳴沢氷穴
平均気温:0~3℃
鳴沢氷穴は富岳風穴と1キロしか離れていません。観光する場合はセットで見学することが大部分。バス停もあり、バスと徒歩でも行けますが、徒歩15分ほどなので、歩いて行った方がバスの待ち時間を気にせずにいいかもしれません。
天井までの高さが1メートルない場所が点在し、かがんで歩かなければいけない場所があるので気を付けて。数十年前に筆者が訪れた際は閉所恐怖症だったので、先に進めず戻りたくなりました。無事に進んで出たものの、現在はそういった持病のある人は入場ができないことになっています。
「地獄穴」と名の付く最深部の地下の水脈は、のちに紹介する神奈川県の江の島岩屋まで通じているという伝説があり、江の島岩屋も伝説を公認しています。かつての氷の貯蔵庫を再現した「氷の壁」や、冬から春にかけて作られ真夏もその姿を見せてくれる天然氷の氷柱、足元の下は2~3メートルの万年氷という、氷、氷、氷だらけの世界!
鳴沢氷穴の全長は153メートル。約20分ほどの行程です。「風穴」「氷穴」を巡ればひんやり度はUP。帰りに山梨県名物、あたたかい「ほうとう鍋」が食べたくなってしまうかも?
観光のポイント
・入場には必ずヘルメット着用を。現場で貸してもらえます。
・心臓の弱い方、パニック障害など、閉所に発作が起こる方は入場はできません。
・歩けないお子さんを抱きかかえたり、おんぶして歩くことも禁止されています。
DATA 鳴沢氷穴 所在地:山梨県南都留郡鳴沢村8533 アクセス 電車・バス:JR富士急行線河口湖駅からバス乗車。「氷穴」バス停下車(約20分) 車:中央自動車道河口湖ICから25分 営業時間:9時~17時※時期により営業時間が短縮になります。公式サイトを見て出かけましょう。 入場料:大人350円/小人(小学生以下)200円 公式サイト:鳴沢風穴
埼玉県 首都圏外郭放水路(防災地下神殿)
夏の気温:17度前後
防災地下神殿と称され、各メディアに紹介されてきた首都圏外郭放水路。埼玉県春日部市にあり、中川と綾瀬川の浸水被害を防ぐ目的で作られた施設です。特にここ最近は、日本も異常気象でまるで東南アジアのようなスコール(日本で言うとゲリラ豪雨)が増えてきました。洪水による被害を最小限にするために造られた施設です。
しかし、話題になったのは役割よりもその荘厳かつ、独特な…パルテノン神殿などを思わせるギリシャの遺跡のような、それでいて近未来的という施設内部のビジュアル。
当然ロケハンをする方たちの目に留まり、映画『飛んで埼玉』や戦隊シリーズ、人気アーティストのミュージックビデオにファッション誌の撮影など、撮影スポットとしても大人気に。
しかし1年中17度から18度というひんやりスポットであることもお忘れなく!
観光のポイント
・見学は施設が指定するお休み以外は、ほぼ毎日見学できます。必ず見学コースを予約しましょう。突然行っても入場できません。コースは地下神殿コース・立坑体験コース・ポンプ堪能コース・インペラ探検コースで一番人気は地下神殿コースです。予約はコチラ⇒首都圏外郭放水路見学会予約
どのコースも人気があるので、予約開始日など公式サイトで確認を。
・首都圏外郭放水路のことや、洪水・川について学べる「地底探検ミュージアム 龍Q館」も人気。
DATA 首都圏外郭放水路(防災地下神殿) 所在地:埼玉県春日部市上金崎720 アクセス 電車・バス:東武野田線(東武アーバンパークライン)南桜井駅北口より徒歩約30分(約2.3km) ※バスについて…南桜井駅北口から龍Q館まで、春日部市コミュニティバス「春バス」が運行。ただし運行日・運行時間が限られます。詳細はコチラ!⇒春日部市公式サイト 車:圏央道幸手IC及び五霞ICから約30分(約15km)/ 東北自動車道岩槻ICから国道16号を野田方面に約30分(約17km)/常磐自動車道柏ICから国道16号を野田方面に約40分(約20キロメートル) ※車について…施設名や電話番号では、正しい場所が表示されない場合があります。現住所を入力するようにしてください。詳細はこちら!⇒江戸川河川事務局公式サイト 営業時間:毎日10時~16時 (見学会の予約がなければ参加できません。見学会の最終終了時間は17:00) 入場料:各コースによる・例)地下神殿コース参加料金1名1,000円 公式サイト:首都圏外郭放水路
栃木県 大谷資料館
平均気温:8度前後
「大谷資料館」は栃木県が誇る採石場跡に設立された博物館。「大谷石(おおやいし)?知らない」という人も、旧帝国ホテルの建材としても使われた石だと聞けば「あの時代にあの素晴らしい建物の建材に!?」と驚くこと間違いなし。
採掘の歴史を今に伝える資料館には、コツコツと手堀でほられていた時代の道具や、その後の機械化で変遷していった採掘、輸送方法などの資料を展示。
大人気の地下採掘場跡は2万平方メートルもの大空間で、なんと野球場が一つ入ってしまう大きさなのだとか!まるでゲームの地下宮殿か地下ダンジョン。ミュージシャンのPVの撮影地としても多数活用されています
栃木・宇都宮駅からバスで約30分。「大谷資料館」は大谷石の採石場跡に設立された博物館です。一般の人が見学できる採石場跡には巨大な石造の地下空間が広がり、まるで異世界の地下宮殿か地下ダンジョンのよう。その幻想的な空間はドラマ『イチケイのカラス』映画『翔んで埼玉』、超有名アーティストのミュージックビデオの撮影地としても多数起用されています。
観光のポイント
・公式サイトにはカーナビに入力する際は「敷地が広範囲に渡るため、住所を入力すると山中で迷子になります。電話番号か施設名のオオヤシリョウカンで入力してください。」とあります。山中で迷子って…。
・以下の行為を禁止します。
※許可のない2時間以上の撮影
※三脚・一脚・自撮り棒など撮影用器具等を使用した撮影
※階段・踊り場・狭い通路などでの立ち止まっての撮影及びカメラを床や手摺りなどに固定しての撮影
※モデル立ちしての撮影等、人形や小道具などを使用した撮影、コスプレや奇抜な衣装等を着ての撮影は有料です。申請して許可を取って撮影してください。
※大谷資料館で撮影した映像を無断で商業目的に使用する事はできません。
DATA 大谷資料館 所在地:栃木県宇都宮市大谷町909 アクセス 電車・バス:JR宇都宮駅西口6番乗場から「大谷・立岩行き」乗車約30分/東武宇都宮駅から東武駅前バス停で「大谷・立岩行き」乗車し約20分。資料館入口で下車、徒歩約5分です。 車:東北自動車道鹿沼IC.から車で13km、宇都宮IC.から車で約で8km/北関東自動車道宇都宮上三川IC.から車で20km/ 壬生IC.から車で約18km 営業時間:9時~17時(最終入館16:30まで※12月~3月9時30分〜16時30分(最終入館16:00まで)) 入場料:大人800円/子供400円(小・中学生)/未就学の子どもは無料 公式サイト:大谷資料館
群馬県 不二洞
平均気温:約10度
関東一の大きさを起こる鍾乳洞、不二洞は、なんと未だに全貌が明らかになっていないという迷宮のような神秘的な空間です。約1200年前に見つかった鍾乳洞ですが、それまでは動物たちの棲み処となっていたそうで、人間が最奥部まで足を踏み入れたのは約400年前。僧侶によるものであったのだそう。そんなこともあり、この洞窟は修行の場として使われました。また、江戸時代にこの村で疫病が流行した際には、悦巌上人が疫病退散のため洞内にて入滅。その後の探検で洞内の最深部で入定した上人の遺骨が発見されています。
全長は約2.2キロ。その中で観光できるコースは約700メートルとなっており、螺旋階段が多いため40分はかかると思ってください。
大石柱が特徴的な大殿堂や、身をかがめてやっと抜けられる支洞が無数にあります。
観光のポイント
・運転できる場合は車で行く方が無難。最寄りバス停から徒歩40分かかります。
DATA 不二洞 所在地:群馬県多野郡上野村川和 川和自然公園内 アクセス 電車・バス:JR高崎線新町駅から日本中央バス上野村ふれあい館行き乗車でバス停「役場入口」下車(約1時間58分) 徒歩40分 車:関越自動車道本庄児玉I.Cから国道462号 神流川経由約90分/上信越自動車道下仁田I.Cから県道45号線から湯の沢トンネルを抜けて約40分 営業時間:8時30分~17時30分(11月:9~16時・12~3月中旬:10~15時) 入場料:大人800円・小中学生500円・未就学児無料 公式サイト:旅する上野村
群馬県&栃木県 尾瀬
8月の最高気温:群馬県域の尾瀬で27度
他のスポットと異なり大自然の真ん中なので、極端にひんやり、ということはありませんが、涼しい旅行がしたい、という人には最適。ただし、ハイキング目当ての人のみにおすすめします。
尾瀬は群馬県、栃木県、福島県、新潟県の4県にまたがっています。今回はあくまでも関東のひんやりスポットということで群馬県・栃木県に含ませていただきますね。尾瀬の夏は短く、湿原の植物が青々と茂る季節です。
鍾乳洞などのひんやりスポットとは異なるものの、長くゆっくりいるとすると、他のエリアより「涼しい」方が良いのでは?東京都や同じ群馬でも高崎、栃木県の宇都宮と比較するとまだまだ涼しい!例えば2023年8月の群馬県内の都市部が猛暑の中、8月の最高気温は27度。30度を超える日はこの異常気象でもないと言われています。
観光のポイント
・涼しいとはいえ日陰のない湿原では体感温度が30度を超える場合も。ハイキングで訪れることが多いので、日を遮る帽子を忘れずに。飲料水もなるべく多く持参しましょう。
・人気の尾瀬ヶ原に近く関東の都心部から比較的アクセスが良く行きやすい入山口は鳩待峠です。この記事は関東編なので、福島県からの入り方は解説していません。
・日帰りだと疲れが残ります。できれば宿泊して爽やかな朝の尾瀬を体験する方が、得した気分!尾瀬沼で山小屋に泊まってみては?
・初心者は鳩待峠~竜宮・ヨッピ橋コース、鳩待峠~アヤメ平~竜宮がおすすめ。
DATA 尾瀬(鳩待峠) 所在地:群馬県利根郡片品村戸倉 アクセス 電車・バス:水上駅・上毛高原駅発着の予約制バス尾瀬ライナーが短時間・乗換えなしで便利。路線バスを使う場合は、上毛高原駅発着またはJR上越線「沼田駅」から発着。「上毛高原駅」発着は本数が多くないため「沼田駅」に出る方がおすすめ 東京からの場合は新宿発の関越交通の高速路線バスがおすすめ。戸倉で鳩待峠行きへ乗換えることができます。 車:関越自動車道沼田I.Cより尾瀬戸倉まで約60分 公式サイト:尾瀬保護財団
神奈川県 江の島岩屋
夏の平均気温:25度程度/冬は20度前後
江ノ島の最も奥にある、海食洞窟。前述した富士山の氷穴に通じていると伝わる第一岩屋と龍神伝説が残る第二岩屋があり、神秘的な光に照らされた石像や岩壁にうっとりしてしまいます。まさかここが観光客でごった返す湘南・江ノ島の中にあるなんて!と、ちょっと不思議な感覚に。
あの弘法大師や日蓮上人もこの地で修行したと伝えられ、信仰地として崇められてきました。養和2年(1182)には源頼朝が奥州藤原秀衡征伐を祈願したとも伝えられています。江の島岩屋を暑い時間に訪れて、ひんやりしてから、江ノ島を開始するのも良し、鎌倉・江ノ島観光で暑くてたまらない!と思った時点で江の島岩屋に入るのもあり。
観光のポイント
・最初から江ノ島岩屋に行きたいという人は、遊覧船「べんてん丸」を利用しましょう。最寄駅から江ノ島岩屋まで歩こうとすると、40分以上歩くことになります。⇒藤沢市・湘南江の島公式サイト
・江ノ島は見どころが多いので、行き、もしくは帰りの片道を遊覧船にして、どちらかを徒歩にし、江ノ島観光や江ノ島グルメを満喫しましょう。
DATA
江の島岩屋
所在地:神奈川県藤沢市江の島2
アクセス
電車・バス:小田急線「片瀬江ノ島」駅下車徒歩約40分(または「べんてん丸」乗船約12分)/江ノ島電鉄江ノ島駅下車徒歩約40分(または「べんてん丸」乗船約12分)/ 湘南モノレール「湘南江の島駅」下車徒歩40分(または「べんてん丸」乗船約12分)
車:国道134号を江の島方面へ/横浜新道より国道1号線を江の島・藤沢方面へ
入場料:中学生以上500円/小学生200円/未就学児無料
営業時間:9時~17時※季節により営業時間が変わる場合があります
公式サイト:藤沢市観光公式ホームページ
東京都 日原鍾乳洞
年間平均気温:11度
東京都に年間を通して平均温度が11度の世界があるなんて!それを聞いたら誰もがこの夏でかけたくなってしまうことでしょう!古くから山岳信仰の場として、修験者が通っていただけに「地獄谷」「三途の川」「死出の山」などおどろおどろしい名の自然の芸術が迎えてくれます。
内部の約800メートルで見学所要時間は約40分~60分ほど。通年11度の世界に行くので上着は忘れずに!ここにくれば東京都の猛暑や猛残暑なんて一瞬で忘れさせてくれます。
観光のポイント
・車が運転できる人は、マイカーやレンタカーで行くことを強くお勧めします。
・電車とバスで行く場合は東京・新宿方面から片道3時間以上かかるへき地であること、バスの本数がとても少ないことを理解の上、お出かけくださいね!
・キャンプついでに1泊2日など奥多摩の涼しさを楽しむ旅を計画して合わせて出かけるのが正解
・本来、中央線立川駅乗換青梅線「青梅駅」から「奥多摩駅」下車。鍾乳洞最寄り停留所である西東京バスの奥20で行けば停留所徒歩10分で着きますが、現在は奥21しか走っておらず、東日原バス停で降りることに。そうすると、日原鍾乳洞まで約30分も歩くこととなります。当然帰り道もそうなる上に、帰りのバスの時刻を見ておこかないと大変なことになります。
DATA
日原鍾乳洞
所在地:東京都西多摩郡奥多摩町日原1052
アクセス
電車・バス:中央線立川駅乗換青梅線「青梅駅」から「奥多摩駅」下車。東日原行終点下車徒歩約25分※2023年8月19日現在東日原行バスである「奥21」のみが走っています。奥20が復活すれば平日は日原鍾乳洞行終点下車徒歩5分でたどり着けますが、復活するかどうかは未定です。
車:中央高速八王子ICから国道411号で約90分、奥多摩駅前交差点から約20分
入場料:大人(高校生含む)900円/中学生700円/子ども(小学生)600円
定休日:年末年始休業12月30日~1月3日
営業時間:9時~17時(12月1日~3月31日は午前9時~16時30分)
公式サイト:日野原鍾乳洞
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